ホテイアオイでチグリス・ユーフラテス川「窒息」状態に

生態系の破壊

【AFP=時事】イラクで「ナイルの花」と呼ばれるホテイアオイ。ユーフラテス川(Euphrates River)に浮かぶその大きな葉と繊細な紫色の花は息をのむ美しさだが、チグリス川(Tigris River)と合わせて「二つの川の国」として有名な同国の水路を「窒息」させている。

 南米のアマゾン川(Amazon River)流域原産の侵略的な外来種であるホテイアオイは、世界中の生態系を破壊しているが、成長が非常に早いこの「迷惑植物」は、イラクには特別なリスクをもたらしている。

 ホテイアオイは20年前、観賞用としてイラクに持ち込まれた。同国は以前より定期的な干ばつに見舞われており、水資源の乱用や汚染、上流の河川ダムによる水量の減少にあえいでいるが、広大なチグリス川とユーフラテス川は今、ホテイアオイの急激な繁殖で「窒息」を起こしている。

 光沢のある葉は、水面を厚く覆い、1日に最大5リットルの水を吸収し、その下にいる水生生物にとって不可欠な太陽光と酸素を遮断してしまう。川で釣ったコイを地元の市場に卸している漁師にとっては手ごわい敵だ。ホテイアオイが繁殖して、コイは死に、平らな葉や根、花が漁網に絡み、ボートの移動を妨げている。

 南部ディカー(Dhi Qar)州の漁師、ジャラブ・アルシャリフィ(Jallab al-Sharifi)さんは「このナイルの花に生活の道を奪われている」と語った。アルシャリフィさんはユーフラテス川で生計を立てている。

 ホテイアオイは、農家にも打撃を与えている。川の上流に位置するトルコとイランが建設したダムの影響で川の水位がもともと減少していたところに、ホテイアオイは、さらに水位を下げ、農業用水路が詰まる原因となっている。

 ホテイアオイは、さらに別の圧力を引き起こしているとイラク当局は警鐘を鳴らしている。ホテイアオイが100平方メートルに広がると重量は最大5トンほどになり、川沿いの老朽化したインフラに多大な負担をかけるという。

 アルバダー(al-Badaa)村では、ユーフラテス川に架かっていたれんがの橋の太い橋脚が今はホテイアオイで覆われている。上流に位置するダムに囲まれた土地もホテイアオイで覆われ、沼地のようになっている。【翻訳編集】 AFPBB News

https://news.yahoo.co.jp/articles/ffb4b2edbc2c2af0f86c8a8533ccba8ba7096c42

メダカや金魚の水槽などに良く入っているホテイアオイですが、世界中の生態系を壊している「迷惑植物」と紹介されています。

水槽に浮いていると何やら涼しげで問題となるような植物に感じませんが、確かに世界中の暖かい地域で野性化してしまっているようです。

世界の熱帯・亜熱帯域に帰化し、日本では、本州中部以南のあちこちで野生化している。寒さに弱く、冬はほとんど枯れて悪臭を放ち地域の迷惑となるが、一部の株がわずかに生き延びれば、翌年の春~秋場にかけて再び大繁殖する。もともと繁殖力が強く、富栄養化した水域ではあっという間に水面を覆い尽くす。のみならず、このように肥料分多くなると、個体の大型化もみられる。

結果、水の流れを滞らせ、水上輸送の妨げとなり、また漁業にも影響を与えるなど日本のみならず世界中で問題となっている。

西ベンガル州ハルディア市営プール(公的貯水池)にはびこるウォーターヒヤシンス
この植物の大繁殖によってインドの西ベンガル州の漁業は大打撃を受けた(1950年代に推計45,000トン)。そのためベンガル地方では「(美しき)青い悪魔」と恐れられ、インドの他所では「ベンガルの恐怖(テロル)」と忌み嫌われた。バングラデッシュでは世界第二次大戦の始めにドイツが意図的に移植させたという俗信から「ドイツの雑草(ジャーマンウィード)」と呼ばれ、スリランカでは逆に日本軍の軍機を危険な着地に誘い込むため英国が植えたという事で「日本のトラブル」と呼ばれた。南アフリカや南米の一部での異名は「フロリダの悪魔」である。

冬季に大量に生じる枯死植物体も、腐敗して環境に悪影響を与える。さらに、水面を覆い尽くすことから、在来の水草を競争で排除する事態や水生動物への影響も懸念される。また、アレロパシーも有する。

このため、国際自然保護連合(IUCN)種の保全委員会が作成した 世界の侵略的外来種ワースト100(100 of the World’s Worst Invasive Alien Species)に選ばれている。ただし、日本ではホテイアオイは特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律において、特定外来生物には指定されていない。これには後述の通り、見解がまとめられていないことが挙げられている(ただし要注意外来生物には指定されている)。

Wikipediaより

しかしながら、一方で有効に利用しようとする動きもあるようです。

冬になり枯れてしまうと、その腐敗から水質汚染の原因になると指摘されていますが、枯れる前には水質を浄化する効果もあるようです。枯れた後の処理を簡易にできるように工夫する事で、水質の浄化に使うことが出来ます。

また、容易に増殖しそのスピードも速いことから、バイオマスに利用することも考えられています。

外来種ですから、そもそも持ち込まないことが最も良いですが、既に多くの生物が在来種を脅かす存在になってしまいました。

全て駆除できるのが理想ですが、既にそれが難しいものも多くなっています。それらのメリットの部分を引き出して利用価値を高めるのも環境を守るために必要なことになるかもしれません。

このような活動に参加したり、それらを原料としているものを購入したりして応援していきたいですね。

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