ロシアの旧鉱山から大量の「酸」流出 検察当局が捜査開始

土壌汚染

【7月16日 AFP】ロシア検察当局は15日、同国ウラル(Urals)地方にある旧鉱山から酸が大量に流出している問題を受け、本来処理するはずの企業に対して捜査を開始したことを明らかにした。

 ある旅行系インスタグラマーが先週、かつて硫化鉱を産出していた銅鉱山の近くの村からドローンで撮影した写真と動画を投稿した。同インスタグラマーは一連の投稿で、この旧鉱山は「浸水し、今やそこから酸性の川が流れ出て、周囲を汚染している」と記載し、これらの投稿がインターネット上で話題となっていた。投稿された動画では、森林地帯でオレンジ色に染まった川が四方八方に広がり流れていく様子も捉えられている。

 検察の広報官は、旧鉱山から流出している酸性の水が規則にのっとり処理されているかどうか確証を得るため、専門家がサンプルを取る予定だと話した。

 一方、環境問題専門家のアンドレイ・ボレゴフ(Andrei Volegov)氏はこの状況について昨年検察当局に警告していた。ボレゴフ氏が公表した書簡によると、汚染水の処理を担当する企業は、適切な資金提供がなされず、酸を中和するための石灰を十分に購入できないと回答していた。

 地元メディアによると、旧鉱山があるスベルドロフスク(Sverdlovsk)州政府は、同鉱山の閉鎖を求めていたが、ロシア政府はそこにまだ貴重な資源があるとの理由でこれを拒否していたという。

 先月シベリア(Siberia)地方で発生した、大量の軽油が川に流出した事故を受けて、ロシアでは産業汚染に対する注目度が高まっている。同国では企業に対してしばしばわずかな罰金が科せられるのみで、官僚主義によりこうした有害廃棄物は長年放置されてしまう可能性がある。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b247788f4251fda0deb97b31b9da91c748ffdd34

この報道からわかる事をまとめてみます。

  • 発生場所はロシア
  • 発生時期は少なくとも先週以前
  • 銅鉱山から酸性物質が流出
  • 酸の中和に必要な石灰が不足
  • 周囲がオレンジに染まっている
  • 州政府とロシア政府で対立がある
  • ロシアでは企業に対する罰金はわずか

ここで、ツイッターの反応を紹介したかったのですが、この話題についてのツイートはありませんでした。

やはり、国外での汚染の話にはそれほど注目度はないみたいです。

ちなみに、銅鉱山での酸の流出は昔からたびたび発生しているようです。

近現代における銅生産量の増加は、銅精錬の際の副産物である亜硫酸ガスの大量放出にもつながり、例えば16-17世紀にはスウェーデンの大銅山において亜硫酸ガスの排出による影響で周辺森林の樹木が枯死し、全滅するという大規模公害が長期間にわたって続いていたことが記録されている。このような亜硫酸ガスによる公害は世界中の銅山で発生していたものと推測されている。このような状況は産業革命以降加速し、イギリスのコーニッシュ銅山では「もし悪魔がここを通りかかったら我が家に帰ったと、錯覚するだろう」と言われるほどの深刻な公害が引き起こされ、主要な銅産出国であった日本においても明治以降の近代化に伴い足尾鉱毒事件などが起こっている

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%85

なお、今回ロシアで流出している「酸」が亜硫酸なのかは報道からははっきりしません。

少なくとも、酸の中和に必要な石灰が資金不足で購入できない事は報道からわかります。

ここで言う石灰は炭酸カルシウム/水酸化カルシウム/酸化カルシウムのどれかわかりませんが、炭酸カルシウムでは20kgを1,000円くらい(ラインマーカー)で購入できます。つまり、1tでも5万円です。末端価格でこの値段ですから業者ならもっと安く手に入るでしょう。

この程度の資金で災害が防げるのにその費用を出すのを渋り大変な被害を出してしまうのは本当に残念です。

環境投資は一見利益にならないように見えますが、長期的には利益または損失の低減になるはずです。

その場の利益に目がくらまぬようにすべきとの教訓に満ちた事件と言えるのではないでしょうか?

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