外来種の「ハヤトゲフシアリ」那覇県内で初確認される

生態系の破壊

 環境省沖縄奄美自然環境事務所は20日、侵略的外来種である「ハヤトゲフシアリ」が県内で初めて確認されたと発表した。ハヤトゲフシアリは人を直接刺して害を与えることはない。特定外来生物のアルゼンチンアリ並みの侵略性があると指摘され、環境省は生態系への影響が懸念されるとし、特定外来生物への指定を検討している。
 自然環境事務所によると、ハヤトゲフシアリは今年2月に那覇市の明治橋から那覇空港の区間の植栽部分で初確認された。その後、7月に環境省が実施した那覇港でのヒアリ侵入モニタリング調査でも確認され、定着の恐れが出てきた。同事務所は既に検疫などの関係機関に情報提供したほか、港を使う事業者などにも注意喚起する予定。

 ハヤトゲフシアリは歩く速度が速く、背中にとげがあるのが特徴。国内では2017年に名古屋港で生息が初確認された。自然環境事務所によると一般の人が瞬時に判別するのは難しいというが「関心を持ってほしい」と呼び掛けている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/49ae8f2b49f38f3fab327844920de077c2318c66

ハヤトゲフシアリと聞いて、どんなアリなのかわかる方は少ないと思います。その特徴は、環境省から次のように報告されています。

・働きアリは体長 2.5~4mm。11 節からなる長い触角を持つ。大きな複眼を持つ。中胸部が細くくびれ、腹柄節背面に1対の刺状突起を持つ点でヤマアリ亜科の他の属から区別される(寺山, 2017)。

・触角が頭部後端より長く、前胸背に 1 対の剛毛、腹部に立毛を持ち、中胸が赤みを帯びること、頭部と胸部には表面彫刻があり光沢がないこと、腹柄節が明確に尖ることから、およそ類似種と区別される(Sharaf et al., 2016)。ただし、トゲフシアリ属の網羅的な整理はされていないため、注意は必要である。

・脚が長く、在来種ではみられないような素早さで移動する(寺山, 2018)。

・ハヤトゲフシアリには現在 16 亜種が記載されているが、これらを形態的に識別できる明確な基準がなく、分類学的再検討が必要である(寺山, 2018)

https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/data/sentei/insect11/02_kontyu_11_siryo2_2.pdf

報道では「(沖縄)県内初確認」となっていますから、他の県では既に確認されているみたいです。調べてみたところ、同じく環境省で次のように報告されています。

定着実績
人為的に分布を拡大し、地中海沿岸から中近東、マダガスカル、インド、オーストラリア、グアム、マレーシア、東ティモール、台湾で生息が確認されている。グアム島では防除が実施され根絶された。近年、別亜種の L. frauenfeldi kantarensis がカナリア諸島に侵入している。
日本国内では 2017 年に名古屋の飛島埠頭および鍋田埠頭、東京の青海埠頭、2018 年に大阪のコンテナ埠頭、博多の箱崎埠頭で侵入、定着が確認されている。2019 年には志布志港で侵入が確認されている。

https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/data/sentei/insect11/02_kontyu_11_siryo2_2.pdf

名古屋・東京・大阪・博多と主要な都市の多くで定着が確認されているようです。

また、人への直接的な害は無いと報道にもありますが、次のような問題が懸念されるようです。

  • アブラムシやカイガラムシを強く保護する習性があり、それによって増殖したアブラムシ等により農作物や園芸植物、自然植生等に影響を与える
  • 住宅地で発生した場合、頻繁に家屋への侵入を受けると考えられ、家屋害虫としても注意すべき
  • 小型で攻撃性が高く、他種のアリを集団で襲い捕食する(アリ以外も捕食する)

グアムのように定着されたものの根絶に成功した事例もあるようですから、日本でもそうなるように期待したいですね。

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